トゥルネーのノートルダム大聖堂

トゥルネーのノートルダム大聖堂

ノートルダム(Notre-dame)とは、フランス語で〈我らが貴婦人〉の意味で、キリスト教における聖母マリアのことです。そして、この名を冠した聖堂がフランス語圏の各都市で建設されました。
 一番有名なのはもちろん、パリのノートルダム大聖堂でしょう。フランスには他にも、ランスやシャルトル、アミアンと全て世界遺産に登録されています。
 ベルギーにも3つのノートルダムがあります。その一つ、「トゥルネーのノートルダム大聖堂」は、2000年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。

●トゥルネーの歴史

トゥルネーは、ベルギー最古の街として知られています。それは、ベルギー王国の歴史より遙かに古く、しかしフランスとの国境に近いため、めまぐるしく支配下が変わりました。

 街の始まりは、2000年前のローマ帝国までさかのぼります。466年頃には、メロヴィング朝フランク王国の初代国王となるクロヴィス1世がこの地に誕生しました。メロヴィング朝は、フランス王国の基礎を築いたフランク王国の最初の王朝であり、その版図は現在のフランス・ベルギー・オランダ・ドイツに及んでいました。

 トゥルネーはフランク王国の後、フランス、スペイン・ハプスブルク、イングランドと変わり、17世紀にオーストリア領となり、18世紀には再びフランス領、その後オランダ領となり、1830年にベルギーは独立して建国、同時にトゥルネーもベルギーの都市になりました。

●世界遺産「トゥルネーのノートルダム大聖堂」の見どころ

「トゥルネーのノートルダム大聖堂」は、ファサード(建物の正面)に二つの塔がそびえる、中世の美しい大聖堂です。大部分が12世紀に作られたロマネスク様式ですが、内陣だけは13世紀に破壊され、ゴシック様式に建て替えられています。この二つの建築様式が混在しているのも、この聖堂の大きな特徴です。

 聖堂内部は、ゴシック様式の素晴らしいステンドグラスや、大聖堂の初代司教である聖エルテールにまつわるタペストリー、ベルギー七大秘宝の一つ「聖遺物箱」が収められています。

 残念ながら、1999年に竜巻の直撃によって大きな被害を受けてしまったため、現在は大修復プロジェクトの最中で、完成は2030年の予定です。ちなみに、「フランダースの犬」に登場するルーベンスの絵が飾られているノートルダム大聖堂は、アントウェルペン(アントワープ)のもの(「プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体」記事参照)です。

●トゥルネーの地理と観光

トゥルネーは、首都ブリュッセルから南西に80km、電車で1時間ちょっとです。一方フランスからは、北部の都市リールから電車で20分です。

 世界遺産は「トゥルネーのノートルダム大聖堂」の他に、ベルギー最古の鐘楼がモンスの鐘楼と同様(前記事参照)、「ベルギーとフランスの鐘楼群」の一つとして世界遺産に登録されています。この鐘楼は、街の中心地にあるグラン・プラス(大広場)からは見ることができます。他にもグラン・プラスに面して、ルネサンス様式の織物ホールや、ロマネスク様式の聖クインティヌス教会もあり、中世ヨーロッパの街の風情が楽しめますので、トゥルネーに行ったら、まずはここを訪ねてみてください。

 また、グラン・プラスを抜けると、巨匠の絵画が多く展示されているトゥルネー美術館や、15、6世紀のフランドルを代表するタペストリーを展示したトゥルネー市タペストリー織物博物館などもあり、必見です。